森本２発！新生日本のエースは俺だ！
サッカー・キリンチャレンジ杯（日本２−１グアテマラ、７日、長居）日本代表が２−１でグアテマラ代表に勝利した。ＦＷ森本貴幸（２２）＝セリエＡ・カターニア＝が先制＆決勝点の活躍。視察したアルベルト・ザッケローニ新監督（５７）に存在感を誇示した。イタリア人指揮官の前で、イタリア仕込みの得点への貪欲（どんよく）な姿を見せ、４年後のブラジルＷ杯へ、次代のエースとしての実力を証明した。

　イタリア名物・シロッコのような熱風が、小雨混じりの大阪に吹き荒れた。前半１２分、ＦＷ森本が同じセリエＡでプレーするＤＦ長友の左クロスにジャンプ一番。強烈な先制ヘッドを突き刺す。８分後には、ＭＦ本田の鋭い縦パスに抜け出したＭＦ香川のシュートのこぼれ球に反応。左足で２点目を押し込んだ。


　「代表の試合で点を取るのはすごくうれしいし、誇りに思う。いろんな人が見に来てくれたので良かった」招待した両親、友人、そしてザッケローニ新監督がスタンドから見守る中での活躍を満足そうに振り返った。

　「ＦＷは点を取るか取らないか」と、よく口にする。拠点の伊カターニアは、不調時には「サッカーなんか辞めてカキを売れ」などと厳しいやじが飛ぶ。「１点は偶然。２点取って本物」とされるお国柄でもある。独自の哲学は、本場でプレーする中で身についた。

　契約時、日本協会の小倉会長に「森本はエースになれるか」と問われたザック監督は、
「当然そう思っている」と自身の母国で結果を残す２２歳に期待を寄せた。そして、この日の試合後には同会長に、「いい点だった」と満足そうな笑みを見せたという。

　南アＷ杯では４試合とも出番がなかった。関西空港での帰国会見では「南アフリカの歌」と称した謎の雄たけびを披露するなど、“いじられ役”に徹した。ＣＭ撮影で女性スタッフの前に全裸に近い姿で登場して困らせるなどちゃめっ気もあるが、元来は人見知りな性格。自身を押し殺した日々に、「今度こそ」の思いは誰より強い。

　「後ろの（攻撃的ＭＦの）３人はレベルが高いので、自分は余計なことをせず、フィニッシュだけを考えていた」頭をたたいてゴールを祝福してくれた本田、香川、乾という年齢の近い若手攻撃陣にも信頼を寄せた。森本の２得点は次代を担う男たちの、ブラジルへの号砲となった。